絶望要塞・幻想の冒険者達
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 エピローグ
 戦闘開始直前であった。
「第一部隊左翼に展開!第三部隊前列!第五部隊右翼に展開!」
 ファンドラッドが張りのある声を響かせていた。その横にナツがちょこんとのぞいている。リティーズが間の抜けた声で訊いた。
「第二部隊は遊撃部隊だったよなあ?」
「役に立たないねえ。もっときっちり覚えてもらいたいところだよ。」
「悪かったな。」
リティは、鼻を鳴らした。
「閣下!」
 そう言って走ってきたのは、ライセンである。
「敵を確認しました。その数、約四千。」
「ふん。よし、追加して出陣させる。外で、迎え撃ってやろうじゃないか。」
「なるほどね。はやいとこ、つぶしたいわけだ。あんた、結構、気が短いもんな。猫かぶってっけどよ。」
「減点するよ。」
ぎくりとして、リティーズは黙る。
 ファンドラッドは、ナツに視線をやった。
「さて、どうする?ナツ。バルコニーから見学するか?」
「いや、やめとくよ。見ても仕方ないよ。」
ナツは首を振った。
「オレは、負傷者の面倒見たり、昼飯の用意とかをしておく。」
「ははは。いい仕事だな。負傷者といっても機械だからね。修理になるが、まあ、がんばりなさい。」
ファンドラッドは笑った。
「ここは、絶望要塞だよ。オレもしっかり働くよ!」
 ふと、ファンドラッドは、思いだしたようにいった。
「そういえば、昔、私じゃないファンドラッド将軍の親友のこいつではないリティーズが言っていたな。」
「なんてだよ・・・?」
ナツに向けて彼はからかうようにいった。
「絶望要塞なんて言うけど、かえって何もないんだから、開き直って希望が見えるかも知れないってさ。そう思うと、ここも悪い所じゃないと思ってな。」
そして、冗談めかして軽くウィンクをした。
「そうだな。うん。きっと、そうだよ。」
ナツは、力一杯うなずいた。
                         おわり
 
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akihiko wataragi presents
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